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オリーブオイルの品質基準、世界と日本で大きなギャップ! -これを知る事が「本物」探しのスタート

オリーブオイルの品質基準、世界と日本で大きなギャップ!       -これを知る事が「本物」探しのスタート

 

 

 

 

「健康オイル」として人気の高いオリーブオイル。スーパーに行くと
売り場には溢れるほどの種類と数のオリーブオイルが並んでいます。

その中でも、品質が一番良いと言われている「エクストラバージン
オリーブオイル」は、手頃な値段でたくさんの種類が並んでいる事を
皆さんもご存知の通りだと思います。500mlで800円程度のものが
中心でしょうか?



一方、百貨店に行くと、調味料専門店などでやはりオリーブオイル
が販売されています。こちらは、いかにもデザインに相当なお金を
かけた様な高級そうなボトルや箱に入れられた、とっても高い
「エクストラバージンオリーブオイル」が並んでいます。
200mlや250mlで3,000~4,000円の幅でしょうか?

 

 

同じ「エクストラバージンオリーブオイル」と書かれた商品なの
ですが、中身は同じなのでしょうか? それとも値段の高い百貨店
のものの方が品質が良いのでしょうか?

 

 

皆さんは、こんなオリーブオイル市場の状態を、どの様に考えて
おられますか?

 

①とくにオリーブオイルにこだわっていないので、どうでも良い。

 

②高い商品を買っておけば大丈夫ではないの?


③ポリフェノールなど健康成分が豊富な、本物のエクストラバージン
 オリーブオイルを使いたいが、なかなかそんな商品を選べないで
    いる。

 

 

①の回答の方、分かりました。ご自由にお選び下さい。
 少し気になり出したら、また戻って来て頂ければ幸いです。


②の回答の方、間違いです。日本のオリーブオイル市場はそんなに
甘くありません。高くても偽物のオリーブオイルは有ります。その
理由を更に知りたいと思われたら、このまま読み進んでみて下さい。


③の回答の方、このコラムはまさにこんな皆さんに本物のオリーブ
    オイルの選び方を知って頂きたく、話を進めようとしています。

 

 

 

 

前回のコラム「オリーブオイルとは? TV番組はどう伝える?(1/25)」
 ☛https://olivemillstone.jp/blog/5498
では、あるTV番組が「健康オイル
としてのオリーブオイル」を
伝えようとしているのにも関わらず、

 

①登場するキャスターやコメンテーターでさえも、数ある「エクス
   トラバージンオリーブオイル」の中からどれを選べば良いのかが
   分からない。

 

②ゲストの専門家も、この部分についてはあいまいなコメントをし、
 どれが「健康成分を含むオリーブオイル」なのかさっぱり分から
 ない。

 

と指摘しました。そうです、日本のオリーブオイル市場では
オリーブオイルの品質が大変分かりずらく「混沌」としているのです!

  ※「混沌」:すべてが入り混じって区別がつかないさま。

 

 

「混沌」の中に身を置き続ける限り、オリーブオイルについては
何も見えず、流れに流されるだけだと思います。

 

 

流れに流されているだけだと、こんな悲しい事になります。

 

『オリーブオイルは健康オイルと聞かされ、摂り始めたのに
本物ではないオリーブオイルを使ってしまったが為に、健康成分が
含まれていないのみならず、化学処理を施したオイルなので、
不健康な成分を含んだオイルを摂り続けていた。』

 

こんな悲しい事にならない為には、この「混沌」としている状態を、
一旦外から客観的に眺め、頭の中を整理してみる必要があると思います。

 


客観的に眺め、何がこの「混沌」の原因かがおおよそ分かって
来れば、オリーブオイルに対してどう考えれば良いかが見えて来る
と思います。

この「外から客観的に眺める」為には、ものごとの物差し=「基準」
(スタンダード)に戻って考えることが大事です。

 


 

 

前回のコラムの最後に、

 

どうして、日本ではオリーブオイルのことが、わかり
ずらくなっているのでしょうか?

 

 

日本で法律として適用されている「オリーブオイル」
という商品の品質を定義する「基準」に問題があるから
です!

 

 

と前振りだけして終わりました。

 

 

今回は、世の中に登場するオリーブオイル商品の品質グレードを
決める物差し「品質基準」が一体どうなっているのか、に焦点を
当ててお話ししたいと思います。

 

 

今回のテーマは、

オリーブオイルの品質基準、世界と日本で大きなギャップ!
  -これを知る事が「本物」探しのスタート

 

 

としました。

 

内容は

 

1、オリーブオイルって何ですか?
 ・そもそもオリーブオイルはどのように作られる?
 ・「オリーブオイルは健康オイル」ってなぜですか?
 ・健康成分を含むオリーブオイルは「本物のオリーブオイル」
 ・「本物ではないオリーブオイル」とはどんなオリーブオイル?

 

2、グローバルスタンダードはIOC(国際オリーブ協会)の品質基準
 ・IOCとは?
 ・日本はIOCに参加していない!
 ・IOC基準では、オリーブオイルのグレードを9つに分ける
 ・IOC基準を満たしたオリーブオイルの評価方法とは?

 

 

3、日本のローカルな基準=JAS法とは?
 ・JAS法とは?
 ・日本はIOCに参加していない!
 ・JAS法では、オリーブオイルのグレードを2つにしか分けない
 ・JAS基準を満たしたオリーブオイルの評価方法とは?


4、日本のオリーブオイル市場が創り出した独自のグレード?2つ
  「ピュアオリーブオイル」と「勝手にエクストラバージン」

 

5、まとめ

 

 

 ※少し長くなりましたので、何回かに分けて読んで頂ければ幸い
  です。

 

 

 

1、オリーブオイルって何ですか?

 

1)そもそもオリーブオイルはどのように作られる?

 

オリーブオイルは、オリーブの木になるオリーブの実を絞って
得られる油です。
オリーブの実を潰し濾(こ)して出来る液体が
本来のオリーブオイルです。

 

ゴマ油やなたね油などは、固い殻も一緒に潰すので、そのままでは
使えず、
精製(熱や化学物質を加えきれいにすること)という
化学処理が必要になりますが、
オリーブの実は種ではなく柔らかい
実なので、ただ潰して漉(こ)せば出来あがります。

 

 

 

 

 

リンゴやみかんをジューサーやミキサーで潰して果物のジュースを
作るのと
同じで、本来オリーブオイルは「オリーブのジュース」
のようなものです。

 

 

 

まず、「本物のオリーブオイル」とは、オリーブの木になるオリーブ
の実
を絞って漉しただけの「オリーブのジュース」のようなものと
頭に入れて
おいてください。

 

「本物のオリーブオイル」のつくり方は、実にシンプルなのです!
「精製」など
と言う、色々な物質を混ぜたり熱したりなどと言う
小難しい「化学処理」
などは全く必要としません!

また、この「オリーブのジュース」のように作られているオリーブ
オイルの品質を良くするにはどうすれば良いでしょうか?

 

 

それは、シンプルに2つです。

 

 

「良い材料を使う」ことと、「材料の良さを壊さないつくり方を
採用する」ことです!


今回のコラムで取り上げる内容は、このレベルの品質を議論する
はるか手前の品質の内容ですが、簡単に触れると以下になります。


・「良い材料」としては、無農薬にこだわったオリーブや、オリーブ
 の名産地などの品質の良いオリーブ使う、またオリーブの実の
 採取から出来るだけ短時間に搾油するなどが有ります。

・「材料の良さを壊さないつくり方を採用する」としては、
 コールドプレス(熱を加えない方法で搾油する方法)などが
 有ります。 

   

 

 

 

 

 

2)「オリーブオイルは健康オイル」ってなぜですか?

 

1)で説明した、オリーブの実を絞って漉しただけの「オリーブの
  ジュース」のような「本物のオリーブオイル」には、オリーブ
  の実に自然に備わった健康成分がいっぱい詰まっています。

 

  まずはオレイン酸、「本物のオイーブオイル」には全体の
  70%~80%ものオレイン酸が含まれています。オレイン酸の
  命名が、オリーブ (Olea europaea)の油を由来としていること
  からも分かる通リ、「本物のオリーブオイル」には豊富に
  含まれ「悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロール
  は減少させない」働きがある
ため、心筋梗塞・脳梗塞・高血圧
  など、生活習慣病の予防に役立つ効果が有ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、「本物のオリーブオイル」には、身体に害を及ぼす活性酸素
 の働きを抑える抗酸化物質であるたくさんの種類のポリフェノール
 を含んでいます。

 

 

 

3)健康成分を含むオリーブオイルは「本物のオリーブオイル」

 

確認して頂きたいのは「オリーブオイル」と書かれた商品総てに、
これらの健康成分が含まれているかと言うと、そうでは有りません。
「オリーブのジュース」のような「本物のオリーブオイル」にのみ、
これらの健康成分が含まれます。

 

「オリーブオイルは健康オイル」との歌い文句で、オリーブオイル
市場は成長を続けているのですが、「オリーブのジュース」のような「本物のオリーブオイル」ではないオリーブオイルが、相当な比率
で販売されています。


これが、日本のオリーブオイル市場の現状で、冒頭の部分で「混沌」
と表現した状況なのです。

 

 

 

このような状況が、なぜ日本で起きているかについては、以下に
1つ1つかみ砕いて説明することにしますが、ここで頭に入れて
おいていただきたい事は、

 

「オリーブオイルは健康オイル」と言う、言葉だけに流されては
 いけません。


・オレイン酸や各種ポリフェノールなどの健康成分を含んだオリーブ
 オイル」は、オリーブの実を絞って漉しただけの「オリーブの
 ジュース」のような「本物のオリーブオイル」のみである。

 

 

 

4)「本物ではないオリーブオイル」とは、どんなオリーブオイル?

 


オレイン酸や各種ポリフェノールなどの健康成分を含んだ「本物の
オリーブオイル」は、オリーブの実を絞って漉しただけの「オリーブ
のジュース」のようなオリーブオイルである事を、繰り返しお話し
しました。

 

では、皆さんを「混沌」の淵に追いやっている「本物ではない
オリーブオイル」とはどんなオリーブオイルなのでしょうか?

 

詳細は、世界と日本の品質基準を説明した後でお話しするとして、
イメージをつかんで頂くために簡単に触れておきます。

 

こんな「本物ではないオリーブオイル」が存在しています。

 

①オリーブの実を絞って漉しただけ(一番絞りorバージン)だが、
 もともとのオリーブの実の品質が悪い、またはオリーブの実を
 採取したあと搾油まで何日か放置されていた為に酸化が進んで
 いる、もしくは腐敗している実を
搾油したものなので、食用には
 適さないバージンオリーブオイル。
 (IOCグレード:ランパンテバージン・オリーブオイル)

 

②一度オイルを絞った後の搾りかす(オリーブポマース)を、溶剤
 などの化学物質や熱を加えて、無理やり2番絞り、3番絞りをした
 オイル。搾りかすの再利用ですが、化学物質の残留や熱処理の
 影響により食用には適さないオリーブオイル。
 (IOCグレード:クルード・オリーブポマースオイル)

 

 


 

③①②の食用には適さないオイルを、精製と言う化学処理により
 色や臭い
を取り去った無味無臭のオイルを作り出したもの
「精製オリーブオイル」と言う、化学物質の残留や熱処理の影響
 があり、もはやオリーブオイルとは言えないオイル。
 (IOCグレード:精製オリーブオイル)

 

④③で作られた「精製オリーブオイル」は、無味無臭でありオリーブ
 オイルとして販売出来ない為、本物のオリーブオイルを1割程度
 ブレンド
しそれらしく造り上げたオイル。日本では「ピュアオリ
 ーブオイル」と言う名前で販売されている。「エクストラバージン
 オリーブオイル」として
販売されているものの中にも、この種の
 オイルが紛れ込んでいる可能性
が高いです。理由は、後で詳述
 します。(IOCグレード:オリーブオイル)

 


 

 

 

どうですか皆さん? ①②という「工業用にしかならないオイル」
を原料に精製と言う化学処理を施し、食用の「オリーブオイル」に
仕立て上げる。とても安いコストのオイルに、少し化学処理とブレンドをし食用としてそれなりの値段で販売する。「錬金術オリーブオイ
ル」の誕生です。
  ※錬金術:普通の金属類を金・銀などの貴金属に変化させようとする術。

 

 

 


「1、オリーブオイルって何ですか?」

 

 

に対する答えは、

 

 

・オリーブの木になるオリーブの実を絞って漉しただけの、健康成分
 をたっぷり含んだ「オリーブのジュース」のような「本物のオリ
 ーブオイル」

 

・化学処理を駆使して、見かけをオリーブオイルに似せて作られた
 「錬金術オリーブオイル」。健康効果どころか残留化学物質などの
 不健康成分も含む可能性のある「本物でないオリーブオイル」

 

 

の2つですと申し上げておきます。

 

日本のオリーブオイル市場には、この「本物でないオリーブオイル」
が何と5割~9割占めていると言われています。
(身の回りのほとんどの商品と言い替えても良いですね?)

 

 

冒頭で、現状のオリーブ市場に関する皆さんの想定反応を
以下の3通リに分けました。

 

①オリーブオイルに拘っていないので、どうでも良い。

②高い商品を買っておけば大丈夫ではないの?

③ポリフェノールなど健康成分が豊富な、本物のエクストラバージン
 オリーブオイルを使いたいが、なかなかそんな商品を選べないで
 いる。

 

 

少なくとも②③の方は、ここで言う「本物のオリーブオイル」
探そうとされていると思いますので、更に続けることにします。

 

 

 

 

 

 

2、グローバルスタンダードはIOC(国際オリーブ協会)の
  品質基準

 
 

 

 

 

まず最初に、オリーブオイルの品質基準のグローバルスタンダード
であるIOC(国際オリーブ協会)の品質基準から紹介します。

 

 

なぜ、日本の品質基準JAS法から紹介しないのか?

理由はシンプルです。

 

 

①日本で使われているオリーブオイルの99%以上が、外国産である
 事。「国産であること」に拘る向きが有るとしても、歴史や文化
 を踏まえても、誰が考えても外国産が本家ですので。

 

 

②日本ではオリーブオイルが普及してまだ20年程度ですが、
 ギリシャを始め地中海沿岸のオリーブ生産国では紀元前5世紀頃
 から脈々とオリーブオイルを使い続けています。そんな外国の
 オリーブ生産国の9割以上が参加してオリーブオイルの品質基準
 を決め、オリーブオイルの品質基準のグローバルスタンダード
 となっているのがIOCの品質基準である事。

 

 

 

オリーブオイルの本家の、グローバルスタンダードの物差し=
「基準」を知らずに、日本国内でしか通用しないローカルな物差し
=「基準」により「混沌」としている日本のオリーブオイル市場に
流されているから、何時までたっても本物のオリーブオイルには
たどり着けないのです。

 

 

 

 

 

IOC(国際オリーブ協会)とは?

 

 

 

 

 

 

まず、IOC(国際オリーブ協会)という組織についてお話しします。

 

1959年に、国連とEUが産地振興のために創設した、本部をスペイン
のマドリッドに置く組織です。加盟国は、EU7カ国(ベルギー、フラ
ンス、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペイン、イギリス)をは
じめとしたオリーブオイル生産国で、世界のオリーブ生産国の9割
以上が参加しています。

このIOCは、オリーブオイルの品質水準を守る事を目的に、守るべき
「品質基準」を決めています。これがIOC基準であり、オリーブオイ
ルの品質に関する国際基準、いわゆるグローバルスタンダードです。

 

 

 

日本はIOCに参加していない!

 

日本は、理由は分かりませんが、オリーブオイルの品質に関する
グローバルスタンダードを決めるIOCに加盟しておらず、このIOC
基準を採用せず、日本独自のローカルルール、JAS法と言う基準を
採用しています。
(後で述べますが、このJAS法のレベルが大変低い事が問題です!)

 

 

だから、日本ではIOC(国際オリーブ協議会or協会)はほとんど知ら
れておらず、Googleで「IOC」と入れても、出てくるのは
「国際オリンピック協会」ばかりなのです。

 

 

オリーブオイルの品質基準として、我々の国日本はグローバルスタン
ダードを採用しておらず、日本独自のローカルルール、JAS法と言う
基準を採用している事を頭に入れておいてください。
(この基準のレベルの低さ、甘さが問題!)

 

 

 


IOC基準では、オリーブオイルのグレードを9つに分ける

 

では、日本では知られていませんが、オリーブオイルのグローバル
スタンダードであるIOC基準が、オリーブオイルのグレードをどの
ように規定しているのかについて、先に見ておくことにします。

 

「オリーブオイルは、色々な油の中の1つとしか考えていなかった
のに、グローバルスタンダードや9つのグレードなどとしちめんどう
臭い!」と思われた方、ここは重要ですので我慢してついて来てください。

 

 

IOC基準では、大きく2つの分類でグループ分けしています。


①「バージン・オリーブオイル」と②「合成オリーブオイル(仮名)」です。

 

①「バージン・オリーブオイル」(絞ったまま100%のオリーブ
 オイル)

 バージンオイルと聞くと「一番搾りで良いオイル」と誤解しそう
 ですが、以下の4つのグレードに分類されます。


 1)エクストラバージンオリーブオイル
  最高グレードのオリーブオイルで、IOCでは「化学検査」の結果
  酸度(下記※参照)が0.8%以下である事と、IOCが認定した
  テイスタ-による「官能検査」の結果で総合評価として「エクス
  トラバージンオリーブ
オイル」に間違いないと認定されたもの
  だけと規定されています。(日本独自のJAS法では、エクストラ
  バージンオリーブオイルと言う品質規定が存在していないので、
  日本で流通している「エクストラバージンオリーブオイル」とは
  全く別ものと考えておいた方が良いです。)

 

 2)バージン・オリーブオイル
  「化学検査」で酸度が2.0%以下、「官能検査」の結果で
  総合評価として「バージン・オリーブオイル」と認定された
  もの。

 

 

 3)オーディナリーバージン・オリーブオイル
  「化学検査」で酸度が3.3%以下、「官能検査」の結果で
  総合評価として「オーディナリーバージン・オリーブオイル」
  と認定
されたもの。

 

 4)ランパンテバージン・オリーブオイル
  「化学検査」で酸度が3.3%を超え、「官能検査」の結果で
  総合評価として「ランパンテ・オリーブオイル」と認定された
  もの。

  このグレードは、バージンオリーブオイルとは言え、そのまま
  では食用に
適さず、工業用途で使うか精製して食用に加工する
  か
と規定されている。

 

 

 

 

②「合成オリーブオイル」(化学的に精製、合成を加えたオリーブオイル)

 

 5)精製オリーブオイル
  4)のランパンテバージン・オリーブオイル(そのままでは工業
  用途)を、化学物質や熱などを加え精製(脱酸・脱臭・脱色)
  したものを指します。ほぼ無色、無臭でオリーブオイルの香り
  や味わいは有りません。

  ※「精製」:溶剤抽出などの化学的な加工をすること。溶剤抽出とは、油中の
   芳香族分,
硫黄分,窒素分,樹脂分などを、溶剤(防腐剤・消毒殺菌剤)で
   抽出除去することを言う。オリーブオイルに元々備わったオレイン酸や
   ポリフェノールも除去されます。

 

 

 6)オリーブオイル
   5)の精製オリーブオイルは、精製という化学処理により
   無味無臭に近い為、香りづけにバージンオリーブオイルを
   ブレンドしたオリーブオイル。日本では「ピュアオリーブ
   オイル」の名前で売られています。

 

 

 7)オリーブポマースオイル
  一度オイルを絞った後の搾りかす(オリーブポマース)を、溶剤
  などの化学物質や熱を加えて、無理やり2番絞り、3番絞りを
  したオイル。搾りかすの再利用ですが、化学物質の残留や熱処理
  の影響により食用には適さないオリーブオイル。

 

 

 8)精製オリーブポマースオイル
  6)のオリーブポマースオイル(そのままでは工業用途)を、
  5)と同様、化学物質や熱などを加え精製(脱酸・脱臭・脱色)
  したものを指します。ほぼ無色、無臭でオリーブオイルの香り
  や味わいは有りません。
  

 


 9)オリーブポマースオイル
  8)の精製オリーブポマースオイルは、5)と同様、精製という
  化学処理により無味無臭に近い為、香りづけにバージンオリーブ
  オイルをブレンドしたオリーブオイル。6)とほぼ同じ中身であ
  り、日本では「ピュアオリーブオイル」の名前で売られている。

 

 

 

 

※「酸度」:オリーブオイルに限らず、オイルは「脂肪酸」と「グリセリン」が結び
 ついた構造
になっています。オリーブオイルの場合、オリーブの実に含まれている時
 が
最も新鮮で、枝から離れた途端「脂肪酸」と「グリセリン」の結合をどんどん
 解いて行きます。その解き放たれて遊離した「脂肪酸」が、遊離の果てに『酸化』
 し
てしまいます。従って、遊離した「脂肪酸」が少なければ少ないほど『酸化』
 しにくいという事になります。この遊離した「脂肪酸」を含む割合を「酸度」と
 呼んでいます。「酸度」の高いオイルを採取する事により、体内に活性酸素を多く
 取り込むこおになり、細胞がさびる、つまり老化するということになります。

 

 


IOC基準を満たしたオリーブオイルの評価方法とは?

 

IOC基準では、それぞれのオリーブオイルが以上の9つのグレードの
どのオイルに相当するのかを判定するための方法も規定しています。

「化学検査」と「官能検査」です。以下、「化学検査」と「官能
検査」の概略と、最高グレードのオリーブオイルである「エクストラ
バージンオリーブオイル」を、この2つの検査でどう判定している
のかについて触れることにします。

 

1)「化学検査」
  必要な物質を必要量含み、人体に害のある成分を含んでいない
  かを調べ、味わいの基となる酸度(酸化の度合)が一定量以下
  であるかを測定する。

 

2)「官能検査」
  IOCが認定したテイスターにより、辛味、苦み、フルーティさ
  など20項目にも及ぶ項目をブラインドテイスィングし、その
  総合評価により9つ品質グレードのどれに適合するかの判定を
  行うこと。必用条件としての「化学検査」に加え、充分条件
  として「官能検査」でのクリアを認定の評価基準として設定
  しています。

 


日本人として数少ないオリーブオイル鑑定士・長友 姫世さん(左)と、私も読んだ
長友さんの著書。

(長友姫世オフィシャルウェブサイトより抜粋させて頂きました。)

 

 


3)「エクストラバージンオリーブオイル」の認定
 「化学検査」の結果、酸度が0.8%以下である事と、IOCが認定
 したテイスタ-による能検査」の結果で総合評価として「エク
 ストラバージンオリーブ
オイル」に間違いないと認定されたもの
 だけが認定されると規定されています。

 

 これはあくまでグローバルスタンダードのIOC基準が規定して
 いる、最高グレードのオリーブオイルを示す「エクストラバージン
 オリーブオイル」の厳しい要件を述べたもので、日本で氾濫して
 いる「エクストラバージンオリーブオイル」が満たしていると
 言っている訳では有りません。


 

 日本のオリーブオイル市場の「混沌」の大きな事態はこれです。

 「そんな事を突然言われても、頭が混乱して訳が分からないよ!」
 そう思われた方も多いかと思いますが、これが日本のオリーブ
 イル市場なのです。

 


 事項で、その元凶となっている日本のローカルな品質基準=JAS法
 についてお話しします。


  

 

 

 

3、日本のローカルな品質基準=JAS法とは?

 
 

JAS法とは?

 

農林水産庁が所管する「農林物資の規格化等に関する法律」は、
日本農林規格(JAS規格)の制定、保護の仕組みや認定機関・飲食料
品以外の農林物資の品質表示などについて定める日本の法律で、一般にはJAS法と呼ばれている。

 

JASは、Japan Agricultural Standardの略である。

 

オリーブオイルは、オリーブの実から作られるオイルで、農林物資
に当たるためこのJAS法が適用されます。

 

 

 

日本はIOCに参加していない!

 

日本は、オリーブオイルの国際基準を決めるIOCに加盟しておらず、
日本独自のJAS法と言うローカル基準を採用しています。

 

 

「オリーブオイルのグローバルスタンダードを採用していないが、
日本独自の厳しい品質基準を採用している」と言うのであれば
何も問題は無いのですが、独自の甘~いローカルルールを採用して
いるので、日本のオリーブ市場を「混沌」とさせている元凶になっています。

既述のグローバルスタンダードのIOC基準との対比で、以下に整理します。

 

 

 


JAS基準では、オリーブオイルのグレードを2つにしか分けない

 

IOC基準では、オリーブオイルのグレードを9つに分けると説明しました。

 

 

では、日本の独自基準であるJAS法はいくつのグレード分けをして
いるのでしょうか?

 


答えはたった2つです。「オリーブ油」と「精製オリーブ油」です。


シンプルと言えばシンプルですが、大きな問題が有ります。

 

 

 

各々の定義は次のようになっています。

 

全般的には、

「食用オリーブ油は、オリーブの果肉から採取した油であつて、
食用に適するよう処理したものをいう。』

 

第13条 食用オリーブ油の規格は、次のとおりとする。



オリーブ油
  一 般 状 態   オリーブ特有の香味を有し、おおむね清澄であ
         ること。
  酸  価   2.0以下であること。

 

精製オリーブ油
 一般状態   おおむね清澄で、香味良好であること。        
  酸  価   0.60以下であること。

 

以上が、オリーブオイルに関しJAS法が規定している主要な部分です。

 

 

先程のグローバルスタンダードのIOC基準と比較しての
大きな違い、問題点は以下の通りです。

 

①JAS法では、グレードがIOCの9つに対し、2つしかない。
 しかも、どういう訳か「エクストラバージンオリーブオイル」は
 定義されていない。

 

JAS法の品質基準の中に「エクストラバージンオリーブ

オイル」が存在しないのです!

 

 

②仮に「エクストラバージンオリーブオイル」が、JAS法では
「オリーブ油」に含めての定義が可能であるとしたら、「酸価
(酸度)は2.0以下」で良いという事になります。IOC基準が
「エクストラバージンオリーブオイル」に求める酸度は0.8以下
であるのと比べてみると、JAS法の品質基準では約3倍酸度が高く
ても許される事になってしまいます。

 

 JAS法の品質基準では、酸度が2.0近辺と高くても、
「エクストラバージンオリーブオイル」が名乗れてしまう!

 

 

 


JAS基準を満たしたオリーブオイルの評価方法とは?

 

グローバルスタンダードであるIOC基準が、「化学検査」と「官能
検査」を実施し、9つのグレードに評価しているのに対し、


JAS法では、酸価(酸度)は検査するものの、IOC基準が求める様な
専門の鑑定士(テイスター)による「官能検査」を必要としていません。

 

「オリーブ特有の香味を有し、おお おおむね清澄」や「おおむね
清澄で、香味良好」などの曖昧な特徴は、テストをする人の主観で
どうにでもなってしまいます。


結局、JAS法の評価方法は、酸度要件さえクリアすれば、簡単に
「オリーブ油」の条件をクリアしてしまい、そもそも「エクストラ
バージンオリーブオイル」の定義はないので、「オリーブ油」に
ランク付けさえされれば、勝手に「エクストラバージンオリーブ
オイル」と名乗っても問題はないと言うことになってしまいます。
酸度が2.0近くのオリーブオイルであってもです!

 

 

以上、グローバルスタンダードのIOC基準が9つのグレードで評価
し、そのグレード評価のために「化学検査」と「官能検査」と言う
2つの検査を求める、すっきりしていて、合理的で、客観的な基準
であるのに対し、

 

JAS法は、そもそも「エクストラバージンオリーブオイル」の定義
が無く、「オリーブ油」の酸度条件も2.0と甘く、評価方法は酸度
のみで「官能検査」は必要ないすっきりしない、非合理的で、客観的
でない
基準である事がお分かりになったと思います。

 

 

 

この事態が、日本のオリーブオイル市場を「訳が分からない市場」
「混沌」とした市場に仕立て上げている原因なのです。

冒頭で言いました結論を再度申し上げておきます。

 

どうして、日本ではオリーブオイルのことが、
わかりずらくなっているのでしょうか?

 

 

日本で法律として適用されている「オリーブオイル」
という商品の品質を定義する「基準」に問題があるから
です!

 

 

 

 

 

4、日本のオリーブオイル市場が創り出した独自のグレード?2つ
  「ピュアオリーブオイル」と「勝手にエクストラバージン」

 

 

オリーブオイルの品質に関する日本の基準、JAS法は、グローバル
スタンダードのIOC基準に対し大変甘く、偽物のオリーブオイル
を大量に市場に流通させる元凶になっています。

 

その結果、日本のオリーブオイル市場は、グローバルスタンダード
のIOC基準には登場しない2つのグレードを登場させました。
「ピュアオリーブオイル」と「勝手にエクストラバージン(仮名)」
です。

 

「ピュアオリーブオイル」
 

 

「精製オリーブオイル」は、無味無臭でありオリーブオイルとして
販売出来ない為、本物のオリーブオイルを1割程度ブレンドし
それらしく造り上げたオイルです。日本では、「純粋」を意味する
「ピュア」と言う名前をつける事により、マーケティング戦略上は、
大成功している商品だと思います。(ごく最近では「ピュアオリーブ
オイル」の呼称を止め、ただの「オリーブオイル」と変更したメーカーが有ります。呼称を勝手に変えられるのも?)

 

理由は、IOCの調査によると、日本の約8割の消費者が「ピュア
オリーブオイル」が、もっとも品質が高いと勘違いをしている結果
がそれを物語っています。

 

 

             (「オリーブオイルの健康的な選び方、使い方」
 神谷真規子=フリーライターより)

 

 

 

 

「勝手にエクストラバージン」 

 

IOC基準により、厳しい評価過程を経て認定された本物の「エクス
トラバージンオリーブオイル」に対して、甘い日本のJAS法の隙間
を縫って、合法的に、勝手に「エクストラバージンオリーブオイル」
と名乗っている偽物のことを、皮肉を込めてこのように命名させて
頂きました。

 

先にも説明した通リ、JAS法では「エクストラバージンオリーブ
オイル」の定義が有りません。また、「オリーブ油」の要件は、酸度
が2.0以下である事と「オリーブ特有の香味を有し、 おおむね
清澄であること。」と言う事だけです。

 

先程のピュアオリーブオイル、酸度が2.0%以下で「オリーブ特有
の香味を有し、おお おおむね清澄であること。」を満たせば、これ
も日本では「エクストラバージンオリーブオイル」を名乗っても、法律違反にはなりません。

 

 

「ピュアオリーブオイル」は、もともと工業用にしかならない
ランパンテオリーブオイルやオリーブポマースオイルを、精製と言う
化学処理により無味無臭な「精製オリーブオイル」に加工し、そのま
までは無味無臭なので1割程度の本物のオリーブオイルをブレンド
し「オリーブ特有の香味を有し」をクリアできる様にしたものです。
もともとのコストが極めて安いことは容易に想像が出来ると思います。「錬金術オリーブオイル」ですから。

 

 

以上のように「ピュアオリーブオイル」と「勝手にエクストラバージ
ン」を許している日本のオリーブオイルの品質基準、JAS法の存在
とオリーブオイルのグローバルスタンダードであるIOC基準に触れ
ようとしない日本のオリーブオイル市場のプレイヤー達、これらが
日本のオリーブオイル市場を「混沌」とさせている元凶なのです。

 

 

 

 

 

5、まとめ

 

 

 

 

オリーブオイルは、約2,500年前(日本は弥生時代?)の古代ギリシ
ャ時代から使われています。油や調味料の範囲に留まらず、薬であ
り、化粧品であり、神への神聖な捧げものとしても使われた重要な
存在でした。

 

 

こんな効果、効能のある、大事なオリーブオイルの品質を維持しよう
と世界のオリーブ生産国の約9割が参加して「本物のオリーブオイル
を守るための基準と評価方法」を決めた。これがグローバルスタンダ
ードであるIOCのオリーブオイルに関する国際基準です。

 

 

 

日本では、オリーブオイルが普及したきっかけは、20年ほど前に、
イタリアンのブームが到来し、その流れで「パスタにかける専用の
油」程度の理解で普及して来たのでは無いかと思います。だから、
国の法律もそんな程度で作られているのでしょうか? 単にサラダ油
と並ぶ油の一種としての扱い?歴史とこの健康オイルに対する思い
入れが、全く違うのではないかと私は思っています。

 

このグローバルスタンダードであるIOC基準について、是非理解を
していただくことをお勧めします。

 

新たに本を買わずとも、ギリシャ屋ミルストーンのコラムを読んで
頂くだけで充分だと思います。

 ※コラム欄はこちら☛https://olivemillstone.jp/category/owners-blog/column

 


オリーブオイルに関しては、日本の法律や、一般の販売店に頼っても
残念ながらあなたを守ってくれることは有りません!

 

JAS基準よりはるかに厳しいIOC基準の普及などしてしまうと、
いまの日本のオリーブオイルビジネスに取っては、大きな影響が出て
しまうからなのでしょうか?

 

あなた自身が気づき、オリーブオイルについての固定観念を改め、
行動を変えるしか手が有りません。

 

 

 

 

 

「ギリシャ屋ミルストーン」は、そんなあなたに
少しでもお力添え
出来る様、毎日活動をしています!

 

 

 

 

 

 

世界基準で厳選した「本物のオリーブオイル」を日本の皆様へ

ギリシャ屋 ミルストーン 公式HP

ギリシャ屋 ミルストーン

「本物のオリーブオイル」に徹底的にこだわり、世界最高品質と言われるギリシャ・カラマタ産をはじめ、ほとんど日本市場には出回らない希少なシングルエステート(単一農家)のオリーブオイルを提供しています。IOC(国際オリーブオイル協議会)の認証を保有し、ミシュラン星レストランなどでも愛用されています。

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